担当者のつぶやき (小)論文の作法

こんにちは。担当者Uです。


先日このブログで「1月、世間で特に注目されたのは、STAP細胞のニュース」だと書きましたが、今なおこのような形で世間をにぎわせることになっているとは、予想だにしませんでした・・・。


世間の反応はもはや「論文の信頼性」というだけにとどまっていない様子ですが、小論文のお仕事をしている私たちは、やはり「論文の信頼性」ということが気になってしまいます。


今回のSTAP細胞の研究成果が実際にはどのようなものであるのか。これについては今なお調査中であると思いますので、深く追求することはしません。しかし一般論として言えるのは、「論文において人の意見を使用するときは、それが『引用』であることをはっきり示すこと」が大原則だということです。


これは高校生のみなさんが書く「小論文」でも同じことです。


日頃、小論文テストの添削の現場に立ち会っていると、よく
「解答例文を丸写しした答案」
「丸写しではないけど、第○段落の内容は解答例文そっくりそのままの答案」
「具体例だけ変えていて、あとは解答例文とまったく同じ中身の答案」
などに出会います。
一見、よく書けているように見えるのですが、何かから流用したことが明らかな場合、点数を大きく下げることがあります。


「論文」にしても「小論文」にしても、書いた人独自の考えを示すことが大切です。
仮に結論が「みんなと同じ考え」だったとしても、「私は■■の理由から、やはりみんなと同じように、△△という考えが正しいと考える」というような形で、「独自性」を出すことは可能です。
そうした手続きを踏まずに、あたかも最初から自分が考えたかのように「私はこう考える」と述べたとしても、そこに説得力は生まれません。
もっと重大な論文であれば、人の意見を盗んだひどい人間、という評価をされることになるかもしれません。


もちろん、自分一人で一から説得力のある意見を述べることは大変です。
ですから、人の意見を使用するときは、「これまでこの問題については○○という人がこう言っていた」「新聞ではこの問題についてこう書かれている」などのように、誰がどう書いていたか、ということをはっきり述べることが必要です。
こうすれば「自分の意見」と「人の意見」をはっきり線引きしていることが読む人にもわかりますから、「盗んだ」ことにはなりません。


念のため確認しておきますが、今回のSTAP細胞の論文が盗作だと言っているわけではありませんよ!論文の「体裁」「作法」としてはおそらく重大な問題があったのだと思いますが、その研究自体にどの程度の価値が残されているのか、ということの検証はまだこれからなのだと思います。


少なくとも何らかの新しい発見があって、これからの科学の進歩に少しでも貢献できる要素が残っていたらいいなぁ・・・と担当者Uは思っています。
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