担当者のつぶやき 図書館と小論文

こんにちは。担当者Uです。

仕事の合間に、県の図書館と大学の図書館に行ってきました。
急ぎでどうしても参照したい本があったのですが、いつも行く近所の図書館に置いてなかったため、ちょっと車を飛ばしてコピーをとってきたのでした。


ふだんは会社の中でパソコンとにらめっこばかりしているので、たまの外出(仕事ですけど)は嬉しいものです。
しかも図書館!
あぁ、ここでゆっくり座って好きな本を読んでいたい…という誘惑にかられそうになりました。


と、こう書くと読書好きな人みたいですが、恥ずかしながら、Uは中・高・大とそんなに読書をしてきたわけではありません。
読書より、部活動(スポーツ)や旅行、友達とのくだらない遊びの方がずっと楽しかったので…。
「あー、読書っておもしろいなー」と思い始めたのは社会人になってからです。


大学生の方が本を読む時間がたくさんあるんですけどね。
大学生のときだからこそ読んでおきたい本、というのもたくさんあるんですけどね。

社会人になってから「あぁ、学生のときこうしておけばよかった…」と後悔しても遅いんです。
ぜひ、高校生のみなさんには今のうちから読書習慣をつけておくことをお勧めしたいと思います!

図書館って、無料でたくさんの本を読むことができる、本当に素敵な場所です。
静かだし、書棚を眺めているだけでも「へー、こんな本があるんだ!」と勉強になるし。
インターネットで本の検索や予約などができるサービスもありますし。
学校図書館も、近所の公共の図書館も、どしどし使ってみてもらいたいです。

そういえば、「図書館」をテーマにした小論文ってあるのかな?
と思い、調べてみました。


そうしたら、あるんですねー。数は少ないけど。

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●あなたが現在住んでいる地域の「公共図書館」をもっと身近な、魅力的なものにするためには、どうしたら良いだろう。近年の公立図書館をめぐる状況や出版不況について述べた文章と、資料1『2013年9月11日「朝日新聞」図書館の未来 オピニオン』から、「新しい広場に脱皮せよ」(アントネッラ・アンニョリ)、「集客力、最大化で街に活気」(高橋聡)、「良書のため、書店と協力」(久住邦晴)と、資料2『2013年4月1日「朝日新聞」(西部本社版)』(安楽秀忠、東郷隆)から、レンタル大手の「ツタヤ」を展開する企業が参入して改装した新図書館の試みについて述べた文章を読み、あなたにとっての理想的な公立図書館の姿を考え、その実現のために必要と思われることを提案せよ。
(大分大・経済学部・推薦)
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読書の意義、というより、図書館をどう活性化させるかという経済・地域社会的な話題ですが、おもしろいテーマですね。
日頃図書館をよく利用している人であれば考えやすいのではないかと思います。


今回は(今回も?)入試問題の紹介がちょっと強引な展開でしたね…。
次回はあまり強引にならないように、小論文絡みの情報を提供していきます!
それでは、また。

担当者のつぶやき 異文化交流と小論文

こんにちは。担当者Uです。


あれ、気づけばもう10月も終わりですね!
更新が途切れており、申し訳ありませんでした…。
とんでもなく忙しい、というほどではないのですが、いろんなところからちょこちょこと仕事が入ってくるので、バタバタしています。
いろんなことがありすぎて頭がパンクしてしまいそうになるので、休日は全く別のことをして、頭と体をリフレッシュするようにしています。



さて、今日は「異文化交流と小論文」です。
この前の週末、ふとしたご縁で知り合った台湾人の方(Aさんとしておきます)のお宅にお邪魔しました。
Aさんはもともと台湾で仕事をされていたのですが、現在はとある多国籍企業の日本法人で働いておられます。


今の勤め先の雰囲気からして、ずっとこの日本法人で働くことになるそうです。
当分台湾には戻れないため、日本に永住するつもりで、一軒家まで買われていました。
日本語はたいへんお上手です。
英語もかなり話せるそうで、仕事でも日本語、英語、中国語を駆使しているんだとか。
Uも英文課題文の小論文課題は作っていますが、ビジネスで英語を駆使して…なんてちょっと無理です。
海外で仕事をするだけでもすごいのに、母語と日本語と英語まで使ってバリバリ仕事をしているんですから!
お話をうかがっていて、「はぁ~、すごいですね~」の連続でした。


でも、逆(日本人が世界で暮らす)も増えてきていますよね。
Uの周りでも、「出張でドイツとポーランドに行ってきた」「メキシコの工場立ち上げに参加する」「マレーシアから研修生がやってきたので、今度宮島を案内してくる」「夫が中国で単身赴任中」のような話を耳にすることがあります(どれも違う人ですが、業種は似ています。先生方、わかりますか?)。

最近はやりのTV番組のように、外国の方と結婚して、その人の国に住み続けている、というケースもありますね。
Uの大学のお友達も、結婚して台湾やドイツに住んでいる人がいます。
改めてグローバル社会になったんだなぁ、と感じます。


Aさんのお話に戻ります。
今の悩みの種は、お子さん(現在幼稚園児)だそうです。

Aさんのお子さんはまだ小さいときに日本にやってきました。
日本語の上達はとても速かったそうですが、逆についつい何でも日本語で話をしてしまう、とのこと。
Aさんによると「たぶん自分のことを日本人だと思っている」とのこと。
日本に住んでいるのだから問題ない、と思われるかもしれませんが、両親は生粋の台湾人。
もちろんおじいちゃん、おばあちゃんをはじめ、親戚はみな台湾人(たぶん日本語はほとんど知らない)です。
両親にしてみたら「この子はこのまま日本人として育ってしまうのか?祖国の言葉を忘れてしまったらどうなるのか?」と複雑な思いを抱かれていることと思います。
ひとまず、「家では中国語を使うように」というルールを作っているそうです。

この子がもっと大きくなったときに「私の祖国はどこなんだろう?」と思い悩むことがなければいいなぁ…と思ってしまいます。
仕方のないことではありますが、「外国」暮らしもいろいろあるものですね。


さて、このように外国から来た人が日本で暮らすことは、もはやそんなに珍しいことではないと思います。
そうした人たちと、もともと日本で生まれ育った人たちがどう交流をしていくか、というのは大変重要な課題です。
言葉の問題、文化・風習の違いから生まれる問題、いろいろあります。
Aさんのように、家族内では子どものアイデンティティーがどう確立されていくか、という問題も生まれてきます。



いつものように小論文入試の出題例を見てみましょう。


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●国境を越えたノンナショナル・アイデンティティによるつながりについて述べた『歴史家が見る現代世界』(入江昭)を読み、問3.傍線部「国境を越えた連帯感」をもたらすものは、筆者の例示したものを含めて様々な例が考えられる。筆者の主張を踏まえた上で、あなた自身が考える例を一つ挙げ、その具体例から生じている現象が「国境を越えた連帯感」を示すと言える理由とその現象に対するあなたの意見を述べよ。
(山形大・人文学部・人間文化学科・一般前期)
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国籍以外にも、アイデンティティを確立するものはたくさんある、という内容です。
なるほどー、そういう観点もあるのですね。
国籍にばかり意識が向きがちですが、もっと柔軟な思考も必要だということがよくわかります。
なかなか読みごたえのある文章ですが、とてもおもしろい問題です。

ちなみにこの山形大学、課題文が問題冊子にして全9ページあります…!
テーマの難しさもさることながら、ながーい文章を読んで、要点を的確につかんでいく力も求められますね。

担当者のつぶやき ノーベル賞と小論文

こんにちは。担当者Uです。


ノーベル賞、今年も日本人が受賞されました!めでたいことです。


今日のタイトルは「ノーベル賞と小論文」。

このブログでは、いつもこじつけめいたタイトルをつけていますが(苦笑)、
今回はこじつけではなく、ノーベル賞と小論文は本当に密接にかかわるんです!


昨年も話題にしましたが、ノーベル賞受賞後は、その話題がどこかで小論文入試のネタにされます。

2014年ノーベル賞のニュースは、例えば以下のように2015年度入試で出題されました(一部です)。


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●日本人3名がノーベル物理学賞を青色発光ダイオード(LED)で受賞した。青色発光ダイオードの開発により、明かりの歴史が根本的に変わった。LEDの優れた点を二つ説明せよ。また、LEDはどのような分野で使われるかを説明せよ。更に、あなたは、LEDを用いた研究を行うとしたら、どのような研究をしたいか述べよ。(山梨大・工学部・機械工学科・推薦)

●昨年のノーベル物理学賞は、日本人3名が「青色発光ダイオードの発明」で受賞した。青色発光ダイオードが、ノーベル賞授与にあたる審査の基盤となる「人類に最大の利益をもたらす発明」と認められたからである。なぜそのように認められたか、あなたの考えを述べよ。(富山大・薬学部・一般後期)

●青色発光ダイオードに関する研究成果がノーベル物理学賞を受けたことについて、次の受賞理由をもとに電子工学を学ぶ立場から、あなたの考えを述べよ。受賞理由「省エネで環境に優しい青色発光ダイオード(LED)を発明した。従来に比べ、長寿命でエネルギー効率が高い。多くの研究者が失敗する中で3人は成功した。20世紀は白熱電球が照らしたが、21世紀はLEDによって照らされる時代になるだろう」(東北学院大・工学部・電子工学科・推薦)

●2014年10月、パキスタンの女子学生マララ・ユスフザイ(17歳)が、ノーベル平和賞を受賞した。問1.その受賞理由を簡潔に述べよ。問2.教育環境が整っていない場合の不利益と女子教育の意義について、あなたの意見を述べよ。(昭和女子大・人間社会学部・現代教養学科・推薦)

●ノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイさんについて述べた『2014年10月11日「日本経済新聞」春秋』を読み、このコラムが読者に投げかけている今日的問題について、これからコミュニケーション学科で学ぼうと願っているあなたが考えることを、論じよ。(フェリス女学院大・文学部・コミュニケーション学科)
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いかがでしょうか。
2014年については、日本人の青色LED受賞だけでなく、マララさんの平和賞受賞も入試で扱われていたのですね。
ニュースでも大きく取り上げられましたし、国際問題や女性と子どもの権利についての貴重なメッセージが発せられたので、入試でも問われたものと思われます(そういえばどちらも女子大学で問われていますね)。


昨年の受賞ネタでは、青色LEDそのものの価値や可能性について問われています。
この傾向を考えると、今年受賞された梶田隆章氏、大村智氏の研究領域に近い学部を志望するみなさんは要注意ですね!


また、大村智氏に関して言えば、受賞時のこのような発言が注目されているようです。


「私自身が偉いものを考えたり難しいことをやったのではなく、全て微生物がやっている仕事を勉強させていただいたりしながら今日まできている」

「研究者になっても自分のやりたいこといっぱいあっても、どちらが世の中のためになるかなとか人のためになるかなとか、分かれ道に立った時はそういうことを基本にしていたと思います」


このあたり、「研究」のあり方としてとっても大事なメッセージに見えます。
これら発言が入試で取り上げられることもあるのでは…と思ってしまいます。

ノーベル賞に選ばれることだけが大事なわけではありませんが、また入試対策に「決め打ち」は禁物ですが、注目しておいて損はないように思います。