担当者のつぶやき ナマ重と小論文

こんにちは。担当者Uです。

今回のタイトルに掲げた「ナマ重」、なんのことかおわかりになるでしょうか?



正解は「ナマズ重」です。



…うーん、これでもニュースを知らない人はピンとこないかも。


くわしくは、こちらのニュースをご覧ください。

なんと、エサや調理法を工夫することで、ナマズがウナギそっくりの味になるというのです。
これは驚きです!


そもそも、ウナギは乱獲や環境変化などの原因で、絶滅の危機に瀕している魚です。
そのせいもあり、現在ウナギの値段が非常に高くなっていることはみなさんもよくご存じのことと思います。
ウナギ、とってもおいしいのですが、この値段では食べようという気にならない…という人も多いのでは。


もし、このナマズを大量に育てられるようになれば、今よりもっと安い値段でウナギ(によく似た、おいしい食べ物)を食べられるようになるのかもしれません。
それはうれしいことですねー。




今回、このナマズを開発したのは近畿大学。
近畿大学は、以前「近大マグロ」と呼ばれる、クロマグロ(こちらも絶滅危惧種)の完全養殖に成功したことで話題になっていました。



実はマグロの資源問題というのは、小論文入試でも以下のように出題がみられます。


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■『The Japan Times, Mar 13, 2010』から、マグロ資源の保護の必要性について述べた英文を読み、1980~2000年までのマグロ資源に関する3つの図を読み、読み取れることを、日本がマグロ資源に与える影響を中心に書け。〔300字〕
『平成24年版 環境白書 循環型社会白書/生物多様性白書』(環境省)と、マグロ資源管理と日本の責任について述べた『2012年12月3日「毎日新聞」』を読み、1.現在、マグロ資源に起きている問題には、「コモンズ(共有地)の悲劇」は当てはまるが、その理由を書け。2.なぜマグロ資源の管理がうまくいかないのか、オストロムの挙げた8つの条件のうち2つを用いて、その理由を書け。〔400字〕
(熊本県立大学・総合管理学部・後期)

■マグロの需要が拡大し、乱獲によりマグロの数が減少している。この現状をどう改善するべきか。具体的な理由や例を示しながら説明せよ。
(明治学院大学・国際学部・AO)
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こうなると、ウナギの資源問題も今後入試で出題がみられるかもしれませんね。


ただし、もし「乱獲によりウナギの数が減少している。この現状をどう改善すべきか」という課題が出たとしたら。
今回のニュースにあった「ナマズを食べればよい」と述べるだけでは、おそらく解答としては不十分です!
当たり前のことですが、いくらナマズを食べても、ウナギの数が増えるわけではないからです。


「ウナギの数が減るとこんな問題がある、だからウナギの数を増やさないといけない。でも私たちはウナギを食べたい。たくさん食べるとまた数が減る。だから、とりあえず代わりの食べ物でしのぐ」という「しのぐ」方法の事例としてはかろうじて使えますが、それはなかなかメインの主張にはなりにくいでしょう。
それよりはなぜウナギが減ると問題なのか、どうすれば数を増やせるのか、を主張した方が説得力が生まれそうですね。



おいしそうな食べ物の話題も、やっぱり「小論文」とつなげて考えることができてしまいます(ちょっと強引でしたが…)。

ウナギ(もしくはナマズ)を食べることがあったら、資源と種の保全という問題についても少し考えてみてはいかがでしょうか?

担当者のつぶやき スーパー高校生と普通の高校生

こんにちは。担当者Uです。

今日は「スーパー高校生」の話題から。

「高校生の行動力に世界が賞賛!725万トンの海に漂うプラスチックゴミを回収するシステムが素晴らしい」(feely)

すごいアイデアを考える高校生がいるものですね。
アイデアを考えるだけでなく、それを実現に移しているところがすばらしいです。


高校生も、やれば世界を動かせるんです!
みなさんもがんばってください!


…と口で言うのは簡単ですが。
おそらくほとんどの方が「いや、誰もがそんな世界を変えるようなことができるわけじゃないから」と思ってしまうでしょう。


この悩み、進学・就職のときによく表れるのではないかと思います。
進学(特に推薦入試など)、就職にあたって避けては通れないのが「自己PR」です。
よく、自己PR文の例では、「部活動で部長としてがんばって全国大会に出場した」とか「生徒会長になって学校を変えた」とか出てきます。
でも、そのような「わかりやすい称号」のない人は悩みますよね。
「わかりやすい称号」がないから、「自分には別にPRできるようなことがないし」と考える人は多いと思います。


でも、実際には、そうしたわかりやすい実績がなくても、うまく自己PRを行うことは可能です。


例えば、所属している部活動に、リーダーシップがあって、部員に新しい提案をどんどん行い、みんなをひっぱっている部長さんがいたとします。

部長さんは、アイデアは豊富だけどいつも言いっぱなしで、ツメが甘い。
「学校のグラウンドは狭いから満足に練習できない!もっと広い場所で練習すべきだ!」といつも言っています。

それについてはみんな賛成なのですが、「じゃあどの場所で、どんなふうに練習する?」という具体化はしません。


それを聞いていた副部長さん、「それならまずは顧問の先生に相談しないと。そのときは候補の場所も決めておかないと許可がもらえないと思うよ。Aさん、ちょっと候補場所を探してみてくれない?」と、どうすれば練習場所の変更を実現できるかを詰めてくれました。


今度はそれを聞いていた部員のAさん、「じゃあ候補の場所を調べてみるね」と、インターネットを使ったり、市役所に行ったりして、代わりの練習場所を複数探してくれました。


Bさんは、複数出てきた候補の練習場所のうち最も条件のよい場所の管理人さんに部活動での利用をかけあいました。上手にお願いをして、普通に利用するには手続きが面倒な練習場所を、年に1回管理人さんとお話をするだけで使ってもいいように交渉してくれました。



…と、こんなことがあったとしたら、全員が「自己PR」の材料を得たことになります。
例えばこんな自己PRができそうです。


■部長…誰も考えないようなアイデアを出すことができる。率先してみんなに意見を言える。
■副部長…企画を実現するための段取り整理が上手。
■Aさん…調べごとが上手。インターネットだけでなく、自分の足で調査する行動力もある。
■Bさん…交渉が上手。自分たちの希望をきちんと相手に伝え、また相手の事情もふまえながら双方が納得する取り決めを行うコミュニケーション力がある。



高校のうちにできることは限られています。それを就職・進学先の試験官はよくわかっています。
大事なのは、「何をがんばったのか」「それによって自分は、周囲はどう変わった(よくなった)のか」をきちんと説明できることだと思います。
自分一人でうまく考えがまとまらなかったら、周りの人に相談するのもいいですね。


※本当はさらにそこから、「なぜPRした長所があると、進路先で役に立つのか」ということまで考えていかないといけないのですが…。
ここから先は教材で勉強してみてください(ただし、高校の先生でないと購入できませんのでご注意)。


冒頭に紹介したようなことは、誰もができるわけではありません。
でも、みんなそれぞれ、何かしらのアピール材料は持っているものです。
「わかりやすい称号」をやみくもに求めるのではなく、一見「普通」のできごとをいかに文章としてまとめられるか、で勝負できるといいですね。

担当者のつぶやき ロボット!ロボット!

こんにちは。担当者Uです。
ゴールデンウィーク、いかがお過ごしだったでしょうか?


今日はロボットの話題です。
以前、認認介護の記事で、介護ロボットについて紹介しましたが、先日こんな記事が紹介されていましたね。


■介護や福祉現場で使える「ロボットスーツHAL」がすごい(2015年4月19日「livedoor NEWS」)

ロボットスーツ「HAL」、なんだかカッコイイですね!男の子はこれを見るとテンションが上がりそうです。
種類も「下肢に障害がある人や、脚力が弱くなっている人を支援する」タイプや、「介護を行う人が装着」して、「腰にかかる負担を軽減する」タイプなど、いろいろあるようです。
みなさんの中には職場体験などで介護のお仕事を経験した人もいるかもしれませんが、介護って本当に肉体労働みたいですね。
こうした機械の開発によって、介護者も被介護者も、負担が減って生活にゆとりと楽しさが生まれるようになっていったらいいな~と思います。



一方、こんなロボットも話題になっていたようです。


■アンドロイド「地平アイこ」お出迎え…三越本店(2015年4月20日「読売新聞」)


こちらはもはや「ロボット」と呼ぶのは違和感があります。
「人間そのもの!」とまでは言えませんが、かなり精巧なつくりをしています。


そういえば、今、こんな番組も放送されていますよね。
マツコロイド、なかなか衝撃です。


しかし、ここまで来ると、一種の「気持ち悪さ」も感じるような…。
人間じゃないのに見た目は人間そのもの。
そこに「心」がないことが気持ち悪さにつながるのでしょうか。
ロボットはこれからどこに向かっていくのでしょうか。




この問題については、「マツコとマツコ」にも登場する、石黒浩さんの研究が参考になります。
実は石黒さんの文章は第一学習社の国語教科書でも、取り上げられています。
ここでは、石黒浩さんと劇作家の平田オリザさんが、ロボットの「心」に迫っています。



技術が進化するにつれ、「ロボット」という言葉だけではくくりきれない、さまざまなタイプの機械が登場してきています。
それにより「ロボットだから理系」というようなことではなく、人の心やものの考え方にまで議論は及んでいきます。
今後もさまざまな学部で「ロボット」を題材とした入試が出てきそうな気がします。要チェックです!