担当者のつぶやき 異文化交流と小論文

こんにちは。担当者Uです。


あれ、気づけばもう10月も終わりですね!
更新が途切れており、申し訳ありませんでした…。
とんでもなく忙しい、というほどではないのですが、いろんなところからちょこちょこと仕事が入ってくるので、バタバタしています。
いろんなことがありすぎて頭がパンクしてしまいそうになるので、休日は全く別のことをして、頭と体をリフレッシュするようにしています。



さて、今日は「異文化交流と小論文」です。
この前の週末、ふとしたご縁で知り合った台湾人の方(Aさんとしておきます)のお宅にお邪魔しました。
Aさんはもともと台湾で仕事をされていたのですが、現在はとある多国籍企業の日本法人で働いておられます。


今の勤め先の雰囲気からして、ずっとこの日本法人で働くことになるそうです。
当分台湾には戻れないため、日本に永住するつもりで、一軒家まで買われていました。
日本語はたいへんお上手です。
英語もかなり話せるそうで、仕事でも日本語、英語、中国語を駆使しているんだとか。
Uも英文課題文の小論文課題は作っていますが、ビジネスで英語を駆使して…なんてちょっと無理です。
海外で仕事をするだけでもすごいのに、母語と日本語と英語まで使ってバリバリ仕事をしているんですから!
お話をうかがっていて、「はぁ~、すごいですね~」の連続でした。


でも、逆(日本人が世界で暮らす)も増えてきていますよね。
Uの周りでも、「出張でドイツとポーランドに行ってきた」「メキシコの工場立ち上げに参加する」「マレーシアから研修生がやってきたので、今度宮島を案内してくる」「夫が中国で単身赴任中」のような話を耳にすることがあります(どれも違う人ですが、業種は似ています。先生方、わかりますか?)。

最近はやりのTV番組のように、外国の方と結婚して、その人の国に住み続けている、というケースもありますね。
Uの大学のお友達も、結婚して台湾やドイツに住んでいる人がいます。
改めてグローバル社会になったんだなぁ、と感じます。


Aさんのお話に戻ります。
今の悩みの種は、お子さん(現在幼稚園児)だそうです。

Aさんのお子さんはまだ小さいときに日本にやってきました。
日本語の上達はとても速かったそうですが、逆についつい何でも日本語で話をしてしまう、とのこと。
Aさんによると「たぶん自分のことを日本人だと思っている」とのこと。
日本に住んでいるのだから問題ない、と思われるかもしれませんが、両親は生粋の台湾人。
もちろんおじいちゃん、おばあちゃんをはじめ、親戚はみな台湾人(たぶん日本語はほとんど知らない)です。
両親にしてみたら「この子はこのまま日本人として育ってしまうのか?祖国の言葉を忘れてしまったらどうなるのか?」と複雑な思いを抱かれていることと思います。
ひとまず、「家では中国語を使うように」というルールを作っているそうです。

この子がもっと大きくなったときに「私の祖国はどこなんだろう?」と思い悩むことがなければいいなぁ…と思ってしまいます。
仕方のないことではありますが、「外国」暮らしもいろいろあるものですね。


さて、このように外国から来た人が日本で暮らすことは、もはやそんなに珍しいことではないと思います。
そうした人たちと、もともと日本で生まれ育った人たちがどう交流をしていくか、というのは大変重要な課題です。
言葉の問題、文化・風習の違いから生まれる問題、いろいろあります。
Aさんのように、家族内では子どものアイデンティティーがどう確立されていくか、という問題も生まれてきます。



いつものように小論文入試の出題例を見てみましょう。


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●国境を越えたノンナショナル・アイデンティティによるつながりについて述べた『歴史家が見る現代世界』(入江昭)を読み、問3.傍線部「国境を越えた連帯感」をもたらすものは、筆者の例示したものを含めて様々な例が考えられる。筆者の主張を踏まえた上で、あなた自身が考える例を一つ挙げ、その具体例から生じている現象が「国境を越えた連帯感」を示すと言える理由とその現象に対するあなたの意見を述べよ。
(山形大・人文学部・人間文化学科・一般前期)
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国籍以外にも、アイデンティティを確立するものはたくさんある、という内容です。
なるほどー、そういう観点もあるのですね。
国籍にばかり意識が向きがちですが、もっと柔軟な思考も必要だということがよくわかります。
なかなか読みごたえのある文章ですが、とてもおもしろい問題です。

ちなみにこの山形大学、課題文が問題冊子にして全9ページあります…!
テーマの難しさもさることながら、ながーい文章を読んで、要点を的確につかんでいく力も求められますね。

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